AI画像判別センサによるネジ未加工の検知

ネジのネジ山加工を行う場合、一本一本のネジ山を人が見て検査を行う必要がありました。見た目や寸法測定などにより、検査を行うのですが、ネジの本数が多くなると間違いなども発生しやすくなります。こうしたネジの加工検査におけるヒューマンエラーをなくすため、当社ではAIを導入しています。ここでは最新技術の画像認証とAIによる検査工程の自動化に成功した例をご紹介します。

ネジの検査は、外観を比較する単純検査

ネジの加工によって、既定の寸法に収まっているかどうかを確認する検査作業は、とても単純な作業です。寸法はネジの長さだけではなく、ネジ山の山と谷がどのように寸法が出ているのか、製作誤差の範囲に収まっているかを細かく計測してから合否を判定する必要があります。

製品を作業台に持ってきて、1カ所1カ所目視で確認していく極めて単純な作業といえます。目視で合否を判定するという作業は単純作業のわりに、疲労がたまりやすい過酷な作業です。

ネジの検査は、検査数が多くなる傾向が高い

ネジの検査は、1カ所1カ所の検査項目が細かい上にさまざまな計測について気を使うこととなりますので、精神的に疲労がたまります。さらにネジは一つの製品に多くの数が使われていることからも、検査数が多くなる傾向にある部品です。多いときでは数百、数千ものネジの検査を行わなければならない場合もあります。

1カ所1カ所の検査にも気を使いつつ、数をこなさなければならないネジの検査は、数多くある部品検査の中でも過酷な検査の一つとなります。

ネジは製品を構成する中でも、正確なネジ山と長さがなければなりません。いい加減な検査を行って出荷してしまうと、ネジを使用して製品を製作する際に組み立てられないという状況にも陥る重要な部品です。ネジの検査を「数多く、正確に行うためにはどのようにしたらよいのか」。
当社の社員による試行錯誤が始まりました。

ネジの画像認証とAIの導入で、検査業務の自動化を実現

ネジの検査は先にも述べたように、製品を作業台に置き、1カ所1カ所目視で確認して、合否の判定を繰り返す極めて単純な作業です。そこで当社では、ネジの外観を人の目で見ていることから、画像認証による検査ができないかを検討しました。

画像認証により、ネジの形状や有無の抽出を行えた後は、AIによる合否判断です。AIは複雑な制御に用いられるイメージがありますが、ネジの検査に特化したAIであれば、いくつかのサンプル画像を覚え込ませていけば使用可能となります。

検査項目の全てが基準を満たしていれば合格、一点でも基準が満たされていない場合は不合格として検査を行っていきます。「いくつかの画像から形状や有無を抽出→AIによる合否判定→製品分別→次の検査ネジ」というルーチンを行うことで、ネジの検査業務を、ロボットによる加工ラインに導入し、自動化を実現しました。

画像認証とAIによる判断というと最新技術を用いているので「システムの外注製作費用も高額になったのでは?」と感じる方も多いかもしれません。しかし、当社では検査業務の自動化工程を、社員だけによる自社製作により、外注費用の抑制に成功しました。

AIや画像認証も最新技術ではありますが、解説用の書籍や中央省庁などからは活用事例の資料も公開されています。「AIや画像認証は難しい」「素人にはAIを活用したシステム開発は困難」という先入観を捨てれば、ネジの検査工程の自動化を安価に実現することも可能です。

まとめ|システム開発を自社で行う高い技術

ネジの検査などの単純作業は人的な負担も非常に大きくなります。加えて検査数も多くなると、さまざまな人で手分けをしないと製作が完了しても検査により納期が遅れてしまうということにもなりかねません。だからといってないがしろにもできない、頭を悩ませるネジの検査ですが、当社では画像認証とAIの活用によって、検査業務自体の自動化を行い、大きな効率化に成功しました。

画像認証もスマートフォンの普及などにより、確立した技術領域です。AIについても、まだまだ進化しているイメージが強いですが、単純な比較、判断の領域のAIであれば、既存の技術が多く存在し、それらを応用して組み合わせることで、多くの業務を自動化、効率化することが可能です。さらにそのシステム開発を行うことも、技術力のある社員により自社製作が可能であるということが、他の企業にはない当社の強みです。