単純作業にロボットを導入し人手不足を解消

横型マシニングを使用して加工する工程で、加工前の部品と加工後の部品を入れ替える作業を着脱作業と呼びます。この着脱作業は人が行っていましたが、人の手が介在することで、さまざまなミスが発生しやすくなっていました。当社では、ロボットを導入することで、こうした工程の問題を解決したので、成功例としてご紹介します。

手作業で行っていた横型マシニング工程

横型マシニング工程では、加工前の部品を機械にセットする着脱作業を人が行います。部品に機械が加工を行っている時間は、横型マシニング工程の担当者は待っている状態となります。加工前の部品をセットして、機械に加工させて、加工後の部品を取り外すという単純作業を繰り返すことになります。

加工を自分で行うわけでもなく、加工する部品を機械にセットして加工を待って、加工後の部品を取り外すという作業で、技能を特に必要としないため、あまり希望する人もいません。しかし、横型マシニング工程は機械加工においては重要な工程のため、誰かが行わなければならないという状況に頭を悩ませていました。

横型マシニング工程はヒューマンエラーも発生しやすい

横型マシニング工程は単純作業ですが、加工前と加工後の部品を間違えやすいということもあります。例えば加工前の部品を、横型マシニングを行う機械にセットして、何か連絡が入ったり、他の人から話しかけられたりした場合、セットした部品が加工前のものかがわからなくなってしまうということもあります。また、加工前と加工後の部品が似ている場合もあり、加工後の部品を間違えてもう一度横型マシニング工程にかけてしまうというヒューマンエラーも発生しやすくなります。

こうしたヒューマンエラーは加工前後の容器の色分けや、注意喚起を行っても、人が行っている以上、どうしてもミスが発生してしまいます。慣れによる作業を行ってしまうこともあり、知らず知らずのうちに機械に近づいてしまい、思わぬ事故にも巻き込まれてしまう危険性もあります。これらのヒューマンエラーや事故の防止は、当社の長年の課題でもありました。

横型マシニング工程にロボットを導入し、単純作業を自動化

横型マシニング工程では「加工前の部品をセットする→機械加工→加工後の部品を取り出す」の単純なサイクルの繰り返しです。この作業に特化したロボットを導入して、横型マシニング工程での人の作業をなくし、完全に自動化しました。加工前の部品をセットする際の動線をロボットで再現し、機械加工中の時間を測定して、加工後の部品を取り外す動線もロボットで再現しました。

これによって、人が何時間も機械の横に立って行ってきた単純作業をロボットによる自動作業にすることで担当者の負担を減らすことに成功しました。作業に人の手が入らなくなったことで、ヒューマンエラーや不慮の事故などの発生を防止できます。単純作業は作業者の心理的な負担も増加させるため、退職者の減少にもつながりました。

横型マシニング工程のような単純作業では、その作業の状況をよく観察することで、ロボットによる作業に置き換えることが可能となるのです。

まとめ|単純作業の自動化で人手不足を解消

単純作業のために人を雇用するというのは、今後過去のものとなっていくのではないでしょうか。昨今の人手不足などもあり、単純作業を1日行うような職場では、社員の定着率も悪くなります。それでも行わなければならない作業であるということは変わりありませんが「そこでどのようにするか」という部分が、工場の生産技術の腕の見せ所です。

横型マシニング工程での作業はルーチンが決まっており、それをじっくりと観察することで、同じ動きをロボットにプログラミングすることが可能です。機械加工には高い技術力が必要ではありますが、技術を必要としない作業もたくさんあります。技術を必要としない単純作業は従事している人の精神をもむしばんでしまい、早期退職などにもつながってしまいます。昔は「この状況に対する方法がない」という状態でしたが、現代ではロボットがあります。こうした技術を必要としない単純作業は、順次自動化していくことで、作業を人の手をかけずに行うことができるようになります。当社には、ロボットのハンドリング設計・製作から、ティーチングまでを自社で行う技術力があります。