従業員の発案でアルミ加工用の恒温室を改築

アルミの加工時に温度変化があると、アルミ加工の誤差につながりやすくなります。年間を通して気温が一定の恒温室で加工を行うことで、アルミ加工時に誤差がなく一定の基準のアルミ部品を生産することができるようになります。この記事では、アルミ加工のための恒温室を外部業者に委託せず、自社のアイデアで改築を行った事例をご紹介します。

アルミ加工には一定の室温を維持する環境が必要

アルミは温度に影響を受けやすい金属です。特にアルミ加工時に温度が異なると、同じ寸法の穴加工であっても大きな誤差が出ることがあります。アルミ部品でも穴位置度の規格がφ0.01mm以下と正確な位置での穴あけを行わなければならない場合、温度が異なる状態で穴あけを行うと、基準値に入らなくなってしまうことがあります。

こうしたアルミの精密な加工を行うような場合、常に一定の状態の温度を作り出す恒温室での加工が理想的です。アルミの加工には20℃±2℃の範囲の温度が保たれている室内で加工を行うと誤差も少なく、一定の品質でのアルミ部品の製造を行うことが可能となります。そのため、アルミ部品加工のための恒温室が必要となりました。

当社スタッフのアイデアでスペースの有効活用

そこで当社では、アルミ部品加工のための恒温室を作ることになりました。恒温室の温度の仕様が決まったら、次は建設に移ります。工場の一角に恒温室を作るということが決定したので、次はどの建設会社に製作してもらおうかという検討に入りました。

しかし、温度を一定に保つという部分で、建設会社に改築工事を見積依頼するとさまざまな仕様を検討し「実際にはそこまでの仕様の恒温室は必要ないのでは?」というものが数多く見られました。

アルミ部品の恒温室を建設する必要はあったのですが、建設会社に改築工事を委託できるほどの予算もありませんでした。そこで、建設会社に改築工事を全て依頼するのではなく、社員のアイデアによって恒温室の建設ができないかという検討に入りました。実際に恒温室も使用するため、自分たちのアイデアで改築工事をしてもらえば、自分たちの思い通りのものができるという技術屋の発想があったのです。

作業は外部の建設業者で、自社アイデアで恒温室を設置

工場の一角に作ることが決まった恒温室ですが、用意するものは断熱材とエアコンといった温度調節機器のみということになります。壁面など断熱材の設置部分は建設業者に任せました。普段は関係者しか入らないため、そこまでしっかりとした作りでなくても、温度が一定の空間であれば問題ありません。

アルミ部品の加工時に使うだけの部屋ですので、他の用途を考えなくてもよくなります。この用途に特化したものとなったため、設置は外部の建設業者に依頼し、当社スタッフのアイデアをもとに一定温度になるような恒温室の建設を行うことができました。

まとめ|「いい製品を作りたい」という当社の思い

アルミ部品の精密な加工のために、温度が一定の恒温室が必要だと判断すれば、予算に応じた建設方法を検討できます。当社では、機械加工を主に行っておりますが、機械加工に必要な周辺設備であればさまざまなものに対応できる技術力と発想力があります。

恒温室の建設など、通常であれば全てを建設会社に依頼をするような専門的な工場の改良工事も、予算をかけずに自社のメンバーのアイデアで行うことも可能です。全てにおいて「何とか機械加工でいい製品を作りたい」という思いが、これだけの行動を後押ししています。